今回は中京大学で教授を務める中村努先生に、「医療業界のキャリア形成」についてインタビューをさせていただきました。「在宅医療や地域医療」「人文地理学」などを研究されている中村先生に、医療業界における今後の予測とキャリア形成についてお伺いします。
研究背景・専門領域
インタビュアー


特に、地理学は自然・人文・社会の要素を結びつける空間的な視点と複合的な分析力を有しています。近年では、買い物難民や災害の脆弱性、オーバーツーリズムなど、その地域特有の問題が重要なテーマの一つとなっています。






中山間地域では、地形的制約や施設と人材の不足といった空間的要因によって、大都市では、コミュニティの縮小による介護力の低下といった社会的要因によって、単独の主体では対応困難なケアの空白地域が生じています。これらへの解決策として、多職種による協同の可能性を検証してきました。
医療業界のキャリア教育・人材育成








また、地理学では地図が教育方法の武器として備わっているため、多様な地図の表現方法を修得し、地域の特徴を知るためのツールとして地図を活用できるようにしています。






ただ、日常生活の支援、定期的な訪問診療や急変時の入院への備えも欠かせません。ケア従事者はその人の生活状況から、地域の置かれた環境との関連性を理解することが求められます。ICTやデジタル技術は、そうした地域診断を支える基盤となる可能性を秘めています。
医療・福祉分野のキャリア選択






したがって、地域医療や地域福祉は、医療や福祉の一部としてではなく、生活とケアが一体となった住民同士の支え合いの仕組みとしてとらえられるべきです。関連する職種として、医療系専門職、介護・福祉専門職、相談・支援専門職以外にも、自治体や社会福祉協議会の職員、無資格・未経験の生活支援員が挙げられます。






また、これまでの支える/支えられるといった固定的な関係ではなく、相互に支え合う関係性を意識的に構築していく必要があります。
地域医療で求められる人材とは






苅谷剛彦氏の「知的複眼思考法」によると、多角的に物事を分析する能力は、以下の3つです。「情報を正確に読みとる力」「ものごとの論理の筋道を追う力」「受け取った情報をもとに、自分の論理をきちんと組み立てられる力」。こうした基本的な考える力を基礎にしてこそ、物事の本質を見抜く教養力を発揮し、従来の常識を超えた地域の解決策を提示できるものと信じています。






これから医療の専門分野を目指す方であっても、医療以外の分野や他の地域にも触れつつ、地域住民の生き方を地理的な文脈から深く理解し、その地域ならではの処方箋を提示できるような地域診断のプロとして、また、ともに地域課題に取り組む「共事者」として活躍されることを期待します。



中京大学の基本情報
今回インタビューにご協力いただいた先生は、中京大学で教授を務められている中村努先生です。
| 名称 | 中京大学 |
|---|---|
| 所在地 | 〒466-0825 愛知県名古屋市昭和区八事本町101−2 |
| ホームページ | https://www.chukyo-u.ac.jp/ |

